国際送金決済「アグリゲーター・モデル」の仕組み|今後の未来

 

国際送金決済
「アグリゲーター・モデル」の仕組み

≫2021年2月3日:EY.com

✅一般的なクロスボーダー支払いの構造

バックエンド・メカニズムとして

  • 1.コルレスポンデント・バンキング・ネットワーク(CBN)
  • 2.アグリゲーター・モデル(オルタネイティブ・CBN)
  • 3.その他(SEPA、分散元帳技術)

 

フロントエンド・プロバイダー

  • Western Union、Transferwise、など

 

コルレスポンデント銀行決済の問題点

個人消費者と企業の両方に、透明性の欠如、長い決済期間、高い取引コスト、アクセスの制限など。※特にエキゾチック通貨の取引で一般的な問題となる。

 

2022年に予測されるクロスボーダー決済
156兆ドル

近年、さまざまな地域、取引サイズ、支払いセグメントに焦点を当てた新しいプレイヤーの競争が激化しています。

さらに、クロスボーダー決済フローは年間5%(GAGR)の成長市場であり、新規参入の魅力を保証しています。

 

クロスボーダー決済の取引種別(セグメント)

  • B2B(企業間)取引:最大シェア、150兆米ドル
  • C2B(消費者から企業)取引:2.8兆米ドル
  • B2C(企業から消費者)取引:1.6兆米ドル
  • C2C(消費者間)取引:0.8兆米ドル

しかし、

おおくの新規参入者がクロスボーダー決済の各セグメント(B2B,C2B,B2C,C2C)における「低価格の取引」に焦点を当てています。

これらの新興市場との間における低価格の取引は、①消費者行動の変化、②新興市場との貿易の増加、③金融包摂の増加によって引き起こされる可能性があります。

 

国境を越えた決済:3つのトレンド

  • 1.消費者の需要の変化:スマホの普及と銀行に代わる代替支払い手段(APM)の発展により、あたらしいクロスボーダー決済ソリューションの需要が生まれています。
  • 2.新興国との貿易拡大:アフリカ、ラテンアメリカ、アジアの新興市場への注目が集まっており、世界全体で約5%(GAGR)の成長が予測されます。
  • 3.携帯電話と電子決済の普及:携帯電話の所有率が高まり、世界中でより多くの人が銀行サービスや電子決済ソリューションにアクセスできるようになり、モバイルウォレットの大きな成長が予測されています。

 

これらの市場環境の変化により、
2つの新しい専門的プレーヤーの台頭
が予測されています。

1.デジタル対応の送金業者

送信者(消費者または販売者)と直接取引し、国境を越えたデジタル決済を提供する。ただし、新興市場では銀行口座の設定が困難な場合もおおく、バックエンドネットワークなどのパートナーに依存することを意味しています。

2.バックエンドネットワーク

直接的に消費者(送信者または受信者)とつながることはありませんが、銀行やウォレットプロバイダーと提携して「パートナーネットワーク」を確立することにより、バックエンドネットワークは国境を越えた支払いにおける相互運用性を可能にします。

たとえば、PaypalアカウントからEUR⇒ケニア・シリングのM-Pesa口座への送金では、これらの代替バックエンドネットワーク(アグリゲーター・モデル)を活用することが増えてきています。

 

バックエンドネットワークの仕組み・構造

グローバル決済市場の高度な断片化とさまざまな規制要件は、通常、バックエンドネットワークが特定の国または地域に焦点を当てていることを意味します。その結果、MTOなどの送信パートナーは、多くのバックエンドネットワークに接続する必要があります。

バックエンドネットワークは通常、支払いを集約する「アグリゲーターモデル」を採用します。(※アグリゲーターは、顧客の支払いをまとめて決済することで有利な手数料で決済することができる。)

出典:https://www.fxplus.com/

また、支払いのリアルタイム確認を可能にするために、バックエンドプロバイダー(アグリゲーター)は、担保として送信パートナーに事前に資金を提供することを要求します。

送信側パートナーによるこの事前資金提供により、トランザクションが開始されると、バックエンドプロバイダーは受信者のアカウントにリアルタイムに入金できます。

 

アグリゲータービジネスモデルの適正

アグリゲータービジネスモデルは、特に「C2C、B2C、C2B」の小額決済モデルのバックエンドネットワークとして、CBNよりも速く、安く、透明性をもった決済方法として優れています。

※逆に、アグリゲーターモデルは、平均取引額が50,000米ドルを超えるB2Bセグメントではあまり成功しません。(このような高額な価値を事前に資金調達する能力を確保するには、送金者が運転資金要件を大幅に増やす必要があり、コスト削減の可能性も低くなります。)

これらの理由から、ほとんどすべての高額な B2B クロスボーダー決済は、依然としてCBNを通じて処理されています。

 

今後の動向として:フロントエンドでは…

新興市場におけるデジタル化とモバイルウォレットの浸透の成長により、ウエスタンユニオンやRiaのような伝統的な送金業者は引き続き圧力を受けるだろう。

チャレンジャーとモバイルウォレットの支払い媒体としての勢いが増すことにより、既存プレイヤーは新規参入者の革新に後れをとることが予測できます。

今後の動向として:バックエンドでは…

バックエンドでは、銀行やMTOは、特に低額トランザクションの場合には「アグリゲーター」独自の直接接続を管理するよりも安価で信頼性の高いオプションであることを認識しています。

※これは、特に困難なビジネス環境を持つエキゾチックな国に当てはまります。

市場は一般的に「勝者がすべてを取る」という特性があり、地域の「アグリゲーターチャンピオン」の出現と、銀行、MTO、およびこれらのアグリゲーター間のコラボレーションの大幅な増加が予測されます。

 

企業主導の国境を越えた支払い

先進国市場での国境を越えた取引の場合、CBNは依然として比較的効率的で信頼性が高く、銀行がこのセグメントを支配し続けると予測されています。

新興市場においては、銀行は、高い運転資本要件がアグリゲーターを阻害する高単価の取引においては引き続き支配的であると予測されますが、この運転資本要件のハードルを克服できれば、アグリゲーターと銀行・およびMTO間のコラボレーションが大幅に増加すると予測されます。

このコラボレーションにより、アグリゲータがより安価で信頼性の高いソリューションを提供することで、価格の低いB2B送金セグメントにも対応していく可能性があります。

 

実現可能性の限られた垂直統合

アグリゲーターは大規模なMTOや銀行にとって興味深いターゲットに見えるかもしれませんが、多くの人はアグリゲーターに売りたいとは思っていません。

フロントエンドプレーヤーは独立性を保たなければ、他のパートナーとの直接的な競争に足を踏み入れ、チャンスのほとんどを共食いしてしまうためです。

顧客の本人確認(KYC)ルールなど、同様の規制環境を持つ地域内での規模の経済にけん引されて、フロントエンド分野での適度な M&A 活動が予測されます。

 

 

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