✅RippleNetの普及
- ①RippleNetが多くの金融機関に導入される
- ②ODLの利用が拡大する
- ③資本市場および貿易金融における決済プラットフォームとしての活用がはじまる
結局のところ、RippleやMojaloopでやっていることは、
- ①ILPによる価値の抽象化
- ②XRPによる低コスト即時決済
この2つである。
- RippleNet:銀行元帳の抽象化
- Mojaloop:モバイルマネーの抽象化
- HyperledgerQuilt:プライベート分散元帳上資産の抽象化
楽観論
✅Ripple社が実現したい未來
これは予測だが、おそらくRipple社が最終的に達成したいことは、次のとおり。
- ①各種資産をILPネットワーク内でパケットとして流通する「清算機能」
- ②ILPパケットの清算に連動して高速処理される暗号資産XRPによる「決済機能」
価値というのは本質的には数値の情報であり、情報は簡単にリアルタイムに転送することができる。
ILPに基づく分散元帳上で「価値のパケット」の転送により高速に清算処理をおこない、XRPの支払いチャネルにより当事者間で高速決済をおこなう。
上記のとおり決済ネットワークを合理化することで、世界中の取引ネットワークを相互接続し、ピア間の取り決めにより決済をおこなうことでリアルタイム即時低コストで価値を転送することができるようになる。
→絵にかいた餅ではないのか??
本当に採用・実現されるのか??
→そもそも、価値と情報には必要とされる処理頻度に違いがある。情報はなるべく高速に大量に送信する必要があるが、価値の決済にそれほど速度が必要になるのか?
とは言え、ILPネットワークの実現により低コスト即時決済が実現できるなら、実現すべきだろう。
→為替処理や公社債の売買といった用途であれば、超高速決済が必要となるか?その基盤技術となりうる?
✅ILP普及のタイムライン
ILPが普及するにはこの先5年~10年の時間がかかる。
- 2020~2023:少数の実用例が生まれる
- 2023~2028:多くの利用例があり、用途が拡大する
- 2028~2030:ILPが広く一般的に利用される
長期スパンで考えて、ILPの実現を見守るべきだろう。
悲観論
✅XRPは必要ないのでは?
中央銀行がCBDCを発行し、直接CBDCによる決済をおこなう。ILPパケットの決済もXRPではなくCBDCの支払いチャンネルでおこなえば良いのではないか?
なぜ、XRPが必要になるのか?XRPはCBDCのプロトタイプなのではないか?
→CBDCの実現にはKYC・AML上の問題等、課題がおおく、実現までには時間がかかる
→その点、アジャイル開発を進めるRipple社とXRPに優位性があるだろう
中央機関が提供できるシステムは堅牢でなければならず、発行枚数の調整、現実通貨とのペッグなど、達成すべき課題が多くある。
現時点で考えうるのは中央銀行によるCBDCトークンの発行・償還により決済をリアルタイム効率化する方法。
つまり、中央銀行がIOUの発行・償還する。
→CBDCプライベート元帳を利用すればいいのでは?
✅CBDCの官民パートナーシップ
Ripple社のCBDCレポートに於いても、「現在の金融インフラは複雑であり、すぐに冗長化することはない。ですから、民間セクターの知識を利用しつつ階層化することで生整合性を失わずにCBDCを運用できる」と記載されています。
✅バリデーターが買収されるリスクは?
BTCマイニングの中国依存度の高さが問題視されているが、XRP元帳の価値が高まるほど、XRP元帳バリデーターに対する攻撃、および賄賂による買収等のリスクが高まるのではないか?
XRPのUNLバリデーターが同時に処理を停止したら、XRP元帳が停止してしまうリスク。
それ以外
✅R3CordaとRippleNetの関係性
各国が実施しているCBDC発行プロジェクトでは、テスト環境とは言えど実践レベルで「R3Corda」が活用されている。
ここで「R3Corda上でCBDCを発行するのであれば、RippleNetは必要ないのでは?」という疑問が生まれる。
なぜなら、RippleXRPを用いずとも、CBDCをもちいて国際送金決済は可能だからだ。
たとえば、各国の中央銀行連合による共通プラットフォームをR3Corda元帳技術により構築すれば、決済用CBDCによる即時低コスト決済が可能になるだろう。
実際に、各国CBDCの実証実験ではR3Corda元帳が活用され、JPモルガンもIINとして同様の実証実験をおこなっている。
→RippleNet以外のエンタープライズ分散元帳が採用されれば、RippleNetは不要となるのか?
✅Ripple:CBDCプライベート元帳
Ripple:CBDCプライベート元帳は、原理的に言えば中央銀行がゲートウェイとして機能する「イシュアランス(IOU)」を発行するプライベート元帳だろう。
パブリックなXRP元帳にも「イシュアランス(IOU)」の発行機能は組み込まれているが、金融機関が利用する際には取引の秘匿性、および「イシュアランス(IOU)」の信頼性が必要となる。
そこで、中央銀行がプライベート元帳上にCBDCを発行することで信頼性と秘匿性を確保することができる。
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