RippleXRPのライバルについての考察
このページでは、RippleXRPのライバルについて考察をおこないます。
RippleXRPにライバルは居るのか?
もともと、RippleXRPは異なる元帳同士をつなぐ相互運用性ソリューションとして運用されてきた。Interledgerプロトコルは異なる元帳同士をつなぐためのプロトコルであり、「XRP」は異なる資産同士をブリッジするための暗号資産である。
状況を整理すると、
- 「暗号資産XRP」は、異なる資産同士をブリッジするための決済用途に特化した暗号資産。
- 「Ripple」は、金融機関向けに分散台帳にもとづく国際送金決済ネットワークを提供しているベンチャー企業。
- 「Mojaloop」は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援を受けつつInterledgerに基づくモバイルマネーに相互運用性をもたらすプロジェクト
- 「HyperledgerQuilt」は、エンタープライズ向けブロックチェーンのHyperledgerにInterledgerをもたらすプロジェクト
これらのプロジェクトにより、RippleXRPは「価値のインターネット(Internet of Value)」の実現を目指している。
こういった状況にあり、RippleXRPのライバルとして、それぞれ「決済通貨としてのライバル」と「異なる元帳同士をつなぐ決済ネットワークとしてのライバル」が考えられる。
決済通貨としてのライバル
暗号資産XRPの有用性はおもに「決済用の資産」として、次のとおりである。
【暗号資産XRPのおもな有用性】
- 高スケーラビリティ
- 低コスト決済
- カウンターパーティリスクなし
- 攻撃耐性
これらの「決済用の資産」としての有用性を持つ「XRP」に対して、次のライバルが考えられる。
- 国際銀行(または銀行連合)が発行する「決済用デジタル資産」
- 中央銀行(またはBISなど)が発行する「決済用デジタル資産」
- その他、新興ベンチャーや暗号資産界隈による「決済用デジタル資産」
上記はあくまで「可能性」として考えうる暗号資産XRPのライバルを列挙したものであり、実際に開発が進められているものではありません。
あくまで可能性の話として、「暗号資産XRPよりも高性能な決済用デジタル資産」が開発され、主要な金融機関に採用されるとすれば、XRPのライバルとなり得ます。
「異なる元帳同士をつなぐ決済ネットワーク」としてのライバル
近年、DeFiの隆盛もあって、異なるブロックチェーン同士をつなぐ「相互運用性ソリューション」に注目が集まりつつある。
ただし、「Cosmos」や「Polkadot」、「Overledger」といったソリューションは、異なるLedger同士の相互運用性をもたらすものの、おおよそ”資産の決済”に主眼を置いたプロジェクトではないだろう。
RippleXRPは”資産の決済”に主眼を置いて開発を進めているが、「Polkadot」や「Cosmos」「Overledger」は”異なる元帳をまたいだDappsの利用”に主眼を置いている。
そのため、暗号資産のDeFi分野における相互運用性ソリューション「Cosmos、Polkadot、Overleder」といったプロジェクトはRippleXRPの直接的なライバルではないだろう。
RippleXRPはむしろ「あらゆる資産の決済レイヤー」を狙っており、CosmosやPolkadot、Overledgerといったプロジェクトとは相補完の関係性にあるのではないだろうか?
▼参考例:OverledgerとRippleの接続
というワケで、RippleXRPの直接的なライバルとなり得るプロジェクトは、次のとおりです。
中央銀行のCBDC共通プラットフォーム
各国の中央銀行は「CBDC(Central bank Digital Asset)」に関して積極的な研究をおこなっています。
中央銀行が協力してCBDC共通プラットフォームを構築する場合、RippleNetのライバルとなる可能性があります。
JPモルガン:INN(Interbank Information Network)
JPモルガンが開発するINN(Interbank Information Network)は、イーサリアムベースのエンタープライズブロックチェーンである「Quorum(クオラム)」を活用した金融機関向けのDLT多通貨決済システムです。
シンガポール中銀「SMA」が実施する「Project Ubin」のフェーズ5で明らかになった通り、「INN(Interbank Information Network)」は、かなり本格的に練り上げられたマルチ通貨対応DLT決済ネットワークです。
中央銀行が発行したCBDCを国際決済に利用できるだけでなく、「債券決済、社債決済、貿易金融」などの多彩なアプリケーションに対応することができる仕組みです。
アクセンチュア:Corda
世界的なデジタル・クラウド領域での総合コンサルティング会社である「アクセンチュア」は、中央銀行CBDC国際決済の実証実験(PoC)において、R3 Cordaを活用したCBDC国際決済プラットフォームを提供しています。
ただし、Cordaの開発元である「R3」および「アクセンチュア」はRipple社の提携企業であり、ライバルになるのではなく協力関係を築いていくことが予測されます。
IBM World Wire(XLMを活用)
IBM World Wire は2021年にリポジトリの消失が確認されました
IBM World Wire は、Steller Lumen(暗号資産のステラ)のネットワークを活用し、異なる元帳間の決済をおこなう金融機関・銀行向けのソリューションです。
簡単に言えば、RippleNetのパ○りのような感じです。
特徴として、ブリッジ資産にXLMを使用するのではなく、XLM元帳上に発行したステーブルコイン(IOU)を活用して決済をおこなう。という違いがあります。
言ってしまえばODL無しのRippleNet(つまりxCurrent)のようなものです。
「IBM WorldWire」は、私の観測史上一番のRippleXRPのライバルでしたが、Ripple社が2021年1月26日にODL送金に関する米国特許を取得しましたので、この分野ではRippleXRPに一日の長があるのではないでしょうか?
SWIFT Net
SWIFT(国際銀行間通信協会)と言えば、Rippleの登場以前までは銀行間送金の主要な送金方法であったが、Ripple社CEOのブラッドガーリングハウス氏が言う通り「もはや時代遅れ」な送金方法となりつつある。
RippleNetは分散技術とクラウドに対応し、r3CordaやHyperledger、Mojaloopと連携しているのに対し、SWIFTNetではトラッキングやクラウド化によるバケツリレーの改善・高速化に留まっている。
いかにバケツリレーを最適化したところで、InterledgerやODL、DeFiにより効率化していくRippleNetには敵わないのではないでしょうか?
総括すると
SWIFTNetは時代遅れであり、「アクセンチュアCorda」と「JPモルガン:INN」と「RippleNet:XRP」の関係性がどうなるか?
または、XRP以外に決済向けデジタル資産は開発されるか?
この2点が重要ポイントに思えます。
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