SWIFTNet Instantと
RippleNet の違いと競合性
【比較/ライバルなのか?】
どうもこんにちは。
情報メディアimxmi.netの代表「たまき」です。
SWIFTNet Instant と RippleNetの違いと競合性について知りたいですか?
このページでは、SWIFTの24h7日の即時支払いシステムである『SWIFTNet Instant』と『RippleNet』の違いについて、わかりやすく解説しています。
このページをご覧になることで、下記の内容について理解することができます。
- SWIFTNet Instant と RippleNet は何が違うのか?
- SWIFTNet Instant と RippleNet に競合性はあるのか?
もしあなたが、SWIFTNetInstant と RippleNet の違いと競合性について知りたいなら、このページを最後までご覧ください。
SWIFTNet Instant と RippleNet の違いと競合性
このページで解説する内容
このページで解決する疑問は、次のとおりです。 |
RippleNetに興味がある人「リアルタイムに国際送金ができるSWIFTNet Instant というサービスは、RippleNetのライバルなのでしょうか?RippleNetの優位性は崩れ去る感じですかね?」
こういった疑問にお答えします。
本記事の内容は、次のとおりです。
- SWIFTNet Instant と RippleNet の違い
- XRPによる即時決済(Settlement)を提供する RippleNet
- デジタル資産XRPによるコストカット
それぞれ、順番に解説をおこないます。
※免責事項:このページで解説している内容は、私の個人的な見解を公開したものであり、このページの内容の正確性を保証するものではありません。
SWIFTNet Instant とRippleNet の違い
それぞれ、違いを解説します
近年のリアルタイム国際送金に対する需要にあって、2020年にSWIFTは最新のリアルタイム国際送金支払いシステムである『SWIFTNet Instant』を公開しました。
SWIFTNet Instant とは、各国のインスタントペイメントシステム(即時支払いシステム)に対応することにより、24h/7D でのリアルタイム即時支払いを実現した次世代型の国際支払いシステムです。
つまり、即時支払いに対応したSWIFTのシステムですね。(※旧来のシステムは即時支払いに対応していませんでした。)
即時支払い(インスタントペイメント)システムとは?
即時支払い(インスタントペイメント)システムとは、世界各国の中央銀行により次々と導入が進められている、24/7D 稼働の支払いシステムの事です。
即時支払い(インスタントペイメント)の導入年表
- 2001 韓国 EBS(Electronic Banking System)
- 2006 南アフリカ Real-Time Clearing
- 2007 韓国 CD/ATM System
- 2008 英国 FPS(Faster Payments Service)
- 2010 中国 Internet Banking Payment System
- 2010 インド Immediate Payment Service
- 2012 スウェーデン BiR/Swish
- 2013 トルコ BKM Express
- 2014 イタリア Jiffy – Cash in a flash
- 2014 シンガポール Fast And Secure Transfers
- 2015 スイス Twint
- 2015 メキシコ SPEI
- 2017 欧州 SEPA圏 SCT Inst
- 2017 米国THC Real-Time Payments
- 2018 豪州 NPP(New Payments Platform)
- 2018 香港 FPS(Faster Payment System)
- 2018 日本 全銀モアタイムシステム
- 2018 サウジアラビア Future Ready ACH
- 2019 ロシア FPS(Faster Payment System)
- 2023 米国Fed FedNow
このように世界各国の中央銀行により、次々と 24h/7D 稼働の即時支払いシステムが導入されている状況です。
旧来のSWIFTシステムでは、これらの 24h/7D 稼働の即時支払いシステムには対応していませんでした。また、あくまでこれらの『即時支払いシステム』は、各国の『単一通貨圏内』に対応した国内支払い用のシステムであり、国境を越えた送金では別システムが必要となります。
(※各国の即時支払いシステム は、あくまで単一通貨圏内に対応するものです。)
そこで、こういった状況に合わせて最新型の国境を越えた『24h/7D稼働の国境を越えた即時支払いシステム』として、『SWIFTNet Instant』や『RippleNet』が生み出されたという状況があります。
24h/7D 即時システムに対応
SWIFTNet Instant システム
簡単に言ってしまえば、旧来のSWIFTNetシステムでは、 24h/7D でのリアルタイム支払いに対応できていませんでした。
たとえば、英国の『FPS(Faster Payments Service)』や、豪州の『NPP(New Payments Platform)』といった即時支払いシステムは、あくまで国内の通貨圏内に対応した支払いシステムであり、これらの即時支払いシステムだけでは国境を越えた即時支払いに対応することはできません。
そこで、SWIFTでは 24h/7Dの即時支払いに対応した『SWIFTNet Instant』を開発し、サービス提供をスタートした。という流れですね。
世界的な即時支払いの需要に合わせて、国内の支払いシステムである各国の中央銀行が管理する『インスタントシステム』と、それに対応した『SWIFT Instantシステム』が現れた訳ですね。
あらためて俯瞰すると、当然の流れのように見えますね。
XRPによる即時決済(Settlement)を提供する RippleNet
支払い と 決済 には違いがある
そこで、それぞれ『国境を越えた 24h/7D 稼働の即時支払い』に対応した『SWIFTNet Instant』や『RippleNet』の何が違うのか?という疑問があるかと思います。
結論から言えば、RippleNetでは『支払い(Payments)』ではなく、『デジタル資産XRP による 決済(Settlement)』に対応しているのが違いです。
SWIFTNet Instant は、あくまで国境を越えたインスタントペイメントに対応した支払い(メッセージング)システムです。
それに対して、RippleNet では、デジタル資産XRP を活用することによりリアルタイム決済(Settlement)にまで対応しています。
【例)欧州のリアルタイム支払いシステム】
たとえば、欧州の24h/7D稼働の即時支払いシステムである SCT Inst において、SCT Inst におけるメッセージング機能 はあくまで『リアルタイムの支払い(クレジット)』であり、銀行間での決済(Settlement)は別システムとなります。
www.coupa.com
つまり、このような 即時『支払い(Payment)』システムにおいて、金融機関同士の支払いは信用によるツケ払いであり、後払いにより資金を『決済(Settlement)』していく仕組みですね。
『即時支払い(ツケ払い)』をして、後から決済。という流れです。
金融における『支払い』と『決済』
金融用語で『支払い(Payments)』といえば、あくまで台帳上での『ツケ払い(クレジット)』のことであり、それぞれの支払いが『クリアリング(ネッティング)』されたうえで、最終的に『決済(Settlement)』がなされる。という形になります。
ここで、SWIFTNet Instant も RippleNet も国境を越えた即時支払いシステムであるという点で競合していますが、デジタル資産による決済(Settlement)機能を備えているかどうか?という点で決定的な違いがあります。
RippleNetは決済(Settlement)を提供している
Ripple社の24h/7D対応のリアルタイム送金ネットワークである『RippleNet』では、デジタル資産『XRP』を活用することで、国際送金のリアルタイムな 決済(Settlement)を提供しています。
つまり、RippleNetに参加する金融機関(Liquidity Providor)は、クリアリング・ネッティングを必要とせずリアルタイムに資金を『決済(Settlement)』することが出来るワケですね。
(※状況により、デジタル資産XRPをクリアリング・ネッティング後に、決済(Settlement)する可能性があります。)
XRPはコルレス資金を解放する
ここまで解説してきたとおり、SWIFTNet Instant とは『リアルタイム支払いに対応した次世代型メッセージングシステム』であり、
RippleNet はデジタル資産『XRPによるリアルタイム決済(Settlement)に対応した次世代型決済ネットワーク』になります。
繰り返しになりますが、SWIFTNet Instant と RippleNet の違いは、次のとおりです。
【SWIFTNet Instant と RipppleNet の違い】
- SWIFTNet Instant → リアルタイム 24h/7D 支払い(メッセージング)システム
- RippleNet → リアルタイム 24h/7D 決済(Settlement)対応の支払いシステム
つまり、RippleNetは デジタル資産XRPで決済できる。SWIFTNet Instantは コルレス決済を使う。という違いがあります。
SWIFTNet Instant も RippleNet も国境を越えた即時支払いシステムであるという点で競合していますが、デジタル資産による決済(Settlement)機能を備えているかどうか?という点で決定的な違いがあります。
デジタル資産XRPによるコストカット
財務オペレーションコストを削減する
こちらは、あくまでRipple社が2016年の2月に公開した公式PDFによるコストカットモデルを引用したものになります。
https://ripple.com/files/xrp_cost_model_paper.pdf
それぞれの項目ごとに、
- Foreign Exchange : 外国為替コスト
- Currency Hedging : 通貨ヘッジによるコスト
- Treasury Operations : 財務オペレーションコスト
- Liquidity : 流動性コスト
- Payment Operations : 支払いオペレーションコスト
- Basel Ⅲ : バーゼルⅢ準拠コスト
こういった形でして、デジタル資産XRP を活用した場合に、価格変動をヘッジする ヘッジングコスト が上昇する反面、『財務オペレーションコスト』と『流動性コスト』を大幅に削減することができることが示されています。
つまり、Ripple社が公開している資料によれば、『デジタル資産XRPを活用することにより、リアルタイム支払いのコストカットができる』という事が示されています。
【コスト削減内容の詳細について】
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さらに、コストは削減される
さらに、2020年現在はデジタル資産XRP活用の黎明期にあたり、今後市場でのデジタル資産XRPの流動性が向上していく場合には、『通貨ヘッジコストはさらに削減されていく』ことが(Ripple社資料により)予見されています。
つまり、いうなれば SWIFTNet Instant の支払いシステムは『デジタル資産XRPを活用しないRippleNet』に近いです。
結論:SWIFTNet Instant は RippleNet のライバルである
SWIFTNet と RippleNet は競合する
1973年に設立されたSWIFT(国際銀行間通信協会)とは別に、2013年~2018年ころに彗星のように現れた『RippleNet』の攻勢ですが、
やはり『デジタル資産XRPによる決済(Settlement)を提供しているかどうか?』という点で非常に大きな相違があることがわかります。
現状を比較すると、
【SWIFTNet】
利点:11000を超えるネットワークメンバーと信頼性
欠点:送金技術の先進性
【RippleNet】
利点:デジタル資産XRPによるコストカットモデル
欠点:ネットワークメンバーの数が少ない
たとえるなら、自動車メーカーの老舗【トヨタ自動車】vs 電気自動車の革命屋【TESLA】のような状況であり、どちらのネットワークにも強み・弱みがあり、
市場での挑戦者であるRipple社(RippleNet)がプレゼンスを高めるには、今後もエレガントな革新を継続していく必要があるでしょう。
【まとめ】
SWIFTNet Instant : 最新の 24/7D リアルタイム支払いシステムに対応した、SWIFTの製品。決済(Settlement)はコルレス決済。
RippeNet : 24h/7D リアルタイム支払いに対応しており、デジタル資産XRP による決済(Settlement)に対応。参加銀行数はまだ少なめ(数百行)。
コストメリット・革新性・利便性 を押し出した RippleNet に対して、既存のネットワークである SIFTNet も猛烈な追い上げをしている状況ですね。
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